積分の置き換え(merging)の仕方によって,解析対象に適切なカット方法を選ぶことができる。
図3に代表的な二つのカット法を示した。ここで、図1の原子核Aに属したχ
rと原子核Bに属したχ
s間の相互作用をカットすることを考える。
Type-A (図3左)
・・・立体電子効果や共役効果など,電子の非局在化の効果を解析するためのカット.
積分の非対角要素のみをlarge exponentのものに置き換え,軌道の重なりによる相互作用をカットする.
Type-B (図3右)
・・・回転障壁や立体反発など,核間反発も考慮する必要のある場合のカット.
積分の非対角項だけでなく,2中心2電子積分(rr|ss)および核-電子引力項の対角項Vrr
B,Vss
Aもlarge exponentのものに置き換える.これらはそれぞれ古典的クーロン反発・クーロン引力の値に近づき、核間反発と打ち消しあうことで静電的相互作用も同時にカットされる.