九州大学青木研究室-理論化学グループ
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軌道間相互作用は構造物性の掛け橋

 分子の”構造”と”物性”は分子内の軌道間相互作用によって密接に関係している。したがって、分子内の個々の軌道間相互作用を定量的に解析することができれば化合物の安定性や反応性について有用な情報を得ることができる。

 分子中の相互作用を空間を介するものと結合を介するものに大きく振り分けるというThrough-Space/Bond(TS/TB)相互作用の概念(※1)は,「20世紀の世界の代表的な理論化学の論文66編」に選ばれており(※2)、2004年10月31日時点で758件の学術論文に引用されている。
(※1) Hoffmann R, Imamura A, Hehre WJ, J. Am. Chem. Soc., 90, 1499 (1968).
(※2) Theoretical Chemical Accounts, 103, 234 (2000)

 これまでは定性的な議論しかされていなかったTS/TB相互作用であったが,今回我々が開発したTS/TB解析法により、特定の軌道間相互作用と分子の安定性の関係を、電子相関の効果を含めて定量的に解析することが可能になった。本方法は,有機結晶における異常結合長、化学反応性解析、非線形光学材料や磁性化合物など、特に電子相関効果が 物性を支配する物質系の理論解析でその力を発揮する。

     


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